其れはとても甘い味

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夏の蒸し暑さが酷い毎日。拍車を掛ける様に暑苦しくベタベタくっついて来る慎吾さん。…嗚呼、何て鬱陶しいのだろう。いい加減離れては呉れないのだろうか、此の人は。 第一、人を家に誘う何て怪しいと思ったら矢っ張り予感的中。こう成るともうお手上げだ。此の人はそう云う人なのだから。 「慎吾さん、暑いです。」 「うん、暑いね。」 「離して下さい。」 「やだ。」 ホラ即答。分かってましたけどね、最初から。何て考えてると俺の髪の柔和さを感じる様に頬を擦り寄せて来る慎吾さん。嗚呼、何て言うか…うん、可愛いな、何て思って仕舞う訳で…。そんな俺は相当重症だと思う。 「隆也、好き。」 「いきなり何ですか。」 「好きだから。」 「…知ってます。」 「…ん、大好き隆也。」 「………バカ、好き。」 「あは、慎吾さん嬉しい。」 上を見上げると本当に幸せそうな顔して笑ってる慎吾さんの顔が見えた。畜生、俺迄嬉しいじゃねェか。好き、此の人が好きだ。好きなんだ、慎吾さんが。其の侭ゆっくりと重なる口唇は夏のせいだけでも無く、唯俺の体温を伝達させてるに過ぎなくて、熱くて甘い……。 「隆也、かわい」 「慎吾さんのバカ、」 「バカで良いよ。」 *其れはとても甘い味 (嗚呼、駄目だ。) (俺は何時だって此の人には弱いんだから。) ....end
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