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『…あぁ、どうしよう‥またやっちゃった‥』
僕は情けなく呟き、耳と尻尾を垂らして、トボトボと見知らぬ場所を1人で歩いていた。
何をやっちゃったかって言うとね、また皆とはぐれちゃったんだ。
僕は兄弟の中でも一番チビで歩くのも遅い。だからいつも兄さん達に「はやくしろ」って急かされるんだ。
今日はお天気がいいから、皆で少し遠出の探検をしていたんだけど…
飛んでいた奇麗な羽のある生き物を追い掛けているうちに、皆とはぐれて迷子になっちゃったんだ。
僕ってば、方向音痴だからさ…、帰る道もわからないし…あちこち歩いて皆を探したんだけど見つからなくて…。丸1日近く歩いていたからもうヘトヘト。
疲れた僕は、大きい道の脇にお花が沢山咲いている場所を見つけると、そこに身を潜め疲れた体を横たえた。土の匂いが心地いい。
僕は深呼吸をしてみた。
微かに花の蜜の甘い香りがする。するとその匂いに反応したように、お腹がグゥ~と鳴った。
『お腹空いたなぁ…』
兄弟達は今頃どうしているだろう。僕の事、探してくれているだろうか?
それとも、何度も迷子になる僕に呆れて、探すのを止めてしまったかもしれない…
そんな事を考えているうちに、だんだん不安になってきて、僕は泣きベソをかいてしまった…
『どうせ誰も見てないもんね…』
そう呟くと、涙でツーンと痛くなった鼻を上に向け、ズズ…と鼻水をすすった。(猫に鼻水をすする事が出来るのか…って質問はしないでね?)
気付くとあんなに晴れていた空が、僕に意地悪するみたいに真っ暗になってきていた。
僕はスンスンと鼻をひくつかせて空気の匂いを嗅いでみる…
『…雨が降ってくる…』
そして空はどんどん暗くなり、どんよりとした真っ黒な雲におおわれていった。
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