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僕はいつの間にか眠ってしまっていたらしい。目覚めると、どこかはわからないけどとってもあたたかい場所にいた。
僕は何かの布に包まれているみたい。その布から、お天気のお日さまの匂いがした。もう、冷たい雨の音はしない。
ふと、モゾモゾと何かが動く気配を感じた。誰かがいる…
僕は寝呆けていたみたいで、それが兄弟達だと思い嬉しくなって包まれていた布から脱出し、動くものの方へ近寄った。
『あったかい…』
寄り添うと、とてもあたたかかった。昼間歩き回り疲れ果てていた僕は、そのままウトウトしはじめ、暫らくすると深い眠りに落ちていった。
『……!っ、ほぇっ!?』
僕は突然襟首を掴まれて目が覚めた。何事かわからず辺りを見回して、腰が抜けるかと思ったよ。
だって…宙に浮いていたんだもん。こんなに高く持ち上げられた事なんてないから、僕は怖くてフルフルと小さく震えちゃった…
『ここは…建物の中?』
震えながらも、僕は周りを観察してみた。まず空をさがしてみたんだけど、上には茶色い木の板と変な四角い箱がぶら下がっているだけで、青い空は見えなかった。
次に地面を探したけど、やっぱり土の匂いも、コンクリートの匂いもしなかった。あるのはフワフワした変な色の布や、板ばかり。
そして気付いた…
『…窓がある…』
人間が住む建物には、これと似た「窓」が沢山付いているんだ。たまに勇敢な兄さんが、開けっ放しの窓から人間の住みかに入って、美味しいものを持ってくる時があったから、よく覚えている。
その窓から、空が見えたんだ。
だから、僕は建物の中にいるってわかった。
……じゃあ、今僕を持ち上げているのは……
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