青森

4/8
前へ
/43ページ
次へ
半ば放心状態で廃油の処理をしていると、声をかけられ飛び上がりそうになった。 「お疲れさまです。まだ残ってらしたんですか?最後の見廻りとセキュリティかけちゃうトコでしたよ」 私より3つ年下の店長は、腕まくりをして手伝い始めた。 「あ、そんな、大丈夫ですから。ひとりでやります」 「二人でやれば早く終わりますから」 そのまましばらく二人共無言で片付けた。 全部終わり、セキュリティをかけると店長は送って行くと言ってくれた。 託児所に娘を迎えに行くから…と自分の車に乗り込み走りだした。 なんとなく分かってはいた。 あの店長に好意を寄せられている事。 でも私はバツイチ子持ちで、男の人に臆病になっていたの。 ルームミラーに映る立ち尽くす店長に、大粒の雨が降りつけてきた。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加