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半ば放心状態で廃油の処理をしていると、声をかけられ飛び上がりそうになった。
「お疲れさまです。まだ残ってらしたんですか?最後の見廻りとセキュリティかけちゃうトコでしたよ」
私より3つ年下の店長は、腕まくりをして手伝い始めた。
「あ、そんな、大丈夫ですから。ひとりでやります」
「二人でやれば早く終わりますから」
そのまましばらく二人共無言で片付けた。
全部終わり、セキュリティをかけると店長は送って行くと言ってくれた。
託児所に娘を迎えに行くから…と自分の車に乗り込み走りだした。
なんとなく分かってはいた。
あの店長に好意を寄せられている事。
でも私はバツイチ子持ちで、男の人に臆病になっていたの。
ルームミラーに映る立ち尽くす店長に、大粒の雨が降りつけてきた。
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