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ダングレストのサブイベントです。
「いきなり飛び降りるのだけは勘弁してくれよ?」
久々にダングレストに戻ってきたから、入口の橋で遠くを見ていると青年がやってきた。って、いきなりなんつー声のかけ方だよ。
「そんな憂いを帯びた顔してるかい?」
川から青年の方にむきなおりながら聞いてみた。
「心臓魔導器のことで悩んでる……って顔だ」
さっすが青年。勘の鋭さは飛び級だねぇ。
「お見通しって訳かい……恐れ入ったよ。……まったく、今更こいつの事を考えるなんてなぁ」
今までは忘れてたのにさ。どうゆう心境の変化だろうね。
「生きたいってことだろ。当たり前のことだ」
「……そうだったな。それが当たり前だったんだっけな」
もう何年か前に置いてきたはずだったんだがな。今になって思い出すとは……。俺も変わったってとこか。
「思い出してきたか? ならさっさとリタに相談しな」
「そうねぇ。リタっちに頭上がらなくなるのも怖いし……ま、考えとくわ」
これは、俺の問題だからね。
「真面目に聞けよ、レイヴン。最後までしゃんと生きろっつったろ?」
忘れちゃいないさ。その言葉のおかげでおっさん、立ち直れたようなもんだからね。
「はっは。俺の命は凛々の明星のものだから勝手に死にゃしないさ。少年とも約束したしな。ほれほれ、子どもは早く寝なさい」
「ったく、素直じゃねぇなぁ」
それはユーリ、お前にも言えるよ。大人になると素直になれないもんなのよね。ほんと……素直になれたらなって思うよ。
「…………」
でも、まさか自分が“生きたい”と思う日がくるなんてなぁ。あの日から完全に捨てたと思っていたんだが……ユーリとカロルのおかげかねぇ。おっさん、クールでいくつもりがどうやら熱血になっちまったみたいだわ。
そうさな。世界が平和になって一段落ついたら、その時は……リタっちに相談してみようか。
もう少し、この青年達がいる世界で生きたくなったからね。
変わった心
END
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