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「どうすりゃいいか、わかってんな」
「……ああ!」
わかってる。わかったから、あんたのところに来たんだ。
「もう、歌もあんまし聞こえねぇんだ。もうちっとで、オレは……心の底から“シン”になっちまう。間に合って助かったぜ」
オヤジの言葉一つ一つが、俺の心を揺らした。
「んでよ……はじまっちまったら……オレはこわれちまう。手加減とか、できねぇからよ! ……すまねぇな」
「もう、いいって! うだうだ言ってないでさぁ!」
つい、声を荒げて言ってしまう。これ以上聞いたら、決心が鈍りそうだった。
「……だな」
組んでいた腕をほどいて、背を向けて谷底付近に歩きだす。
「じゃあ……いっちょやるか!!」
そう言ってオヤジは谷底に落ちた。俺は耐えられなくて手を伸ばして走ったけど、オヤジはその手をとらなかった。
大きな雄叫びと共に巨大な召喚獣が、俺達の前に現れる。
「すぐに終わらせてやるからな! さっさとやられろよ!」
精一杯の声で俺は叫んだ。きっと親父にも届いてると信じて。
そして、ラストバトルが幕をあけた。
再開
END
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