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「うわーん!リクぅ!」
押し倒すくらいの勢いでリクに抱き着いて、少し違和感を感じた。
「あれ…あれれれれれれ……?」
「何?……つか重…」
「リクくんってさ、俺がおまえにみさきちゃんのこと好きって言う前、俺のこと好きとか言ってなかったっけ?」
「うん。言ってたけど。てゆーか忘れてたの?傷つくなぁ」
すっげー忘れてました…けど、
「え?ちょっと…え?」
そういえば、俺がみさきちゃんのこと好きになるまで、俺ってこいつに告られまくってた…っけ?
「それは…冗談だったの?それとも俺のみさきちゃんへの愛に諦めたの?」
「冗談じゃないし、ユウイチのこと諦めた訳でもないよ」
じゃあ俺が抱き着いちゃったりするのもダメなのか。
ふーん。でもべつに特に変わった反応ないしこのままでいいや。
「リクってすごいな」
「なんで?」
「俺、好きな人に好きな人がいたら、そいつのこと絶対怨むよ」
「わー……話がずいぶん変わったね…」
「すごいなぁ。おまえさ、軽く応援とかしてくれたじゃん。何?好きな人が幸せならそれでいいとかいう考えなの?すげー」
「べつにそういう訳じゃないよ」
肩を押されて、体が離れる。
あ、やっぱり自分に好意を向けてる相手に抱き着くのはまずかったかなーと思ったら、リクはそんなに気にしてないらしく、にっこりと笑った。
「失恋で傷付いてるユウイチを慰めて、俺のこと好きになっちゃえばいいのになーとか思ってます」
「まっ、それが普通だろ」
んー。
でもね、ぶっちゃけて言うとね、
「俺、お前の事嫌いなんだわ」
「うわぁ、すごい傷つく」
「あんまり傷付いてなさそうな」
「そんなことないよ。傷つくよ」
「ふーん。あ、俺ガム持ってんだ。食う?」
「ありがと。でもいらない」
「さいですかー」
このガムどうしようかなー。
買ってみてあんまり美味くなかったんだよな。
まぁ後でシンにでもあげればいいか。
「ユウイチー…話の続き…」
「えっ?何話してたっけ?ガムの話?」
「いや、俺のこと嫌いって話」
「あぁ、それね。言われなくてもやりますよ」
「今忘れてたよね?」
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