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で、リクが嫌いって話?だっけ。
「人間ってさ、誰しも人には出さない裏の自分ってのがあると思うんですよ」
「はぁ…?」
「でもね、おまえは異常!」
キョトンとした顔でリクが俺を見る。
それだって、作ってるんだろ?
わかってるよ。
「絶対に素顔は見せないで、仮面みたいな作り笑顔でへらへら笑って。そんなんじゃ友達としても好きになれないに決まってんじゃん」
「何言って…」
「おまえのそーゆーとこ本当にキライ。シンがおまえのこと構いたいみたいだから俺も一緒にいるけど、そうじゃなきゃ絶対一緒に居たくないね」
「………………」
あー。言いたいこと言ったらすっきりしたー。
そのままストレッチし始めちゃいそうなくらい伸びをして、横目でリクを見る。
意外というか、予想通りの反応というか…リクはため息をついて苦笑した。
「けっこう演技力には自信あったんだけどなぁ」
「俺様をなめるなっ。てゆーか、気付いてるのは俺とシンくらいよ?」
「シン?へー、意外だな」
「だってほら、あいつは本能で人をかぎ分けるタイプだから」
シンは特別。俺は人間観察(他人の弱みを見つけるの)が好きだから。
「人間ねー、叩いて何もでない奴なんている訳ないんですよ」
「…俺からは何もでなかったからわかったんだ…?」
「そゆことー。だって可愛くないし」
「可愛く…って?」
「人間、弱いところがある方が可愛いんです。さっきの俺がおまえに抱き着いた時もそう」
好きな人が抱き着いてきてんだから顔真っ赤にしたっていいのに、平気な顔で流しちゃうんだもんな。
可愛くねー。
「……でもさ、ユウイチが好きっていうのはホントだよ?」
「じゃあ誠意を見せなさい。」
「誠意?」
「俺はね、人の弱みを握るのが大好きなんです」
「性格悪いなぁ」
世の中、良い人ばかりじゃないんですよ?
まるで犯人を見つけた探偵みたいに、人差し指をリクに向けて。
「仮面を取りなさい」
そしたら、告白のことも真剣に考えてやらないこともない。
End
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