天使のえがお、悪魔のしわざ

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―――頭では理解してるんだ 目覚ましが鳴ってる。 昨日、7時に鳴るようにセットしたヤツ。 起きなきゃいけない。 だけど、寝起きの体はそんな簡単には動いてくれなくて。 「――――――あ……」 眼の前で、今まで見たことないくらいキラッキラの笑顔で笑ってる、俺の天使サマ。 なんだ、夢見てるのか、俺。 だってあの人がこんな笑顔見せる訳ないし。   どうせ夢なら、思いっきり甘えてやろう。 腰を引き寄せて、ギュウッと抱きしめる。 服の中に手を入れて、耳に口付けたところで、 「起きろっつってんだろ?聞こえねぇのか?あぁ?」 「いってーーっ!!」 グーで殴られた頭の痛さは疑う余地もなく現実。 眼の前にはやっぱり大好きなあの人。 天使の顔した悪魔。 いつもと違って明らかに不自然なのは、この人の顔が夢のままキラッキラの笑顔なこと。 「朝っぱらからサカってんじゃねぇよ。てか俺との待ち合わせに遅刻するなんていい度胸だな?」 「え、なんで?さっき目覚まし鳴ったから、まだ7時ちょっと…」 10時37分。 目を擦っても、やっぱり10時37分。 「嘘っ!?なんで!?一瞬で3時間経った!」 「んな訳あるか!」 テメーが3時間寝てたんだよ!ってギリギリ首を絞められる。 痛い痛い! 「まっ、遅刻の事は大サービスで許してやるとして」 「首絞めといて許すも何もないと思うんですけど…」 「おまえ、何が欲しい?」 「は?」 きらきらの笑顔で言われて、ちょっとクラッとする。 やば、朝っぱらからサカっちゃいそう… 「あっ、そういえば今日って俺の誕生日だっけ」 「忘れてたのかよ」 そりゃ、まぁ…誕生日の朝にいきなり頭殴られるとは思わないからね…
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