真夜中の睦言

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「………んっ、ぅ……」 すーっと柔らかい物が身体をなぞる感触。 暖かいタオルが体液を吸い取っていく。 「あ、ごめんね、雪都さん。起こした?」 「……あ…ゆむ…?」 温かいベッドの中。 ぼんやりとした視界の中に恋人の顔。 もともと色素の薄い歩の髪が頬を撫でる。 「……はよ…」 眼を擦りながら上半身を起こす。 おはよ、と歩が唇を重ねてきた。 「まだ夜中だけどね」 苦笑しながら歩が言った。 働きださない脳を起こそうと、頭をグシャグシャ掻き乱す。 「歩…あのあとすぐ寝なかったのか…?」 「うん。だって後始末しないと雪都さんが大変でしょ?……あっ…」 何かを思い出したらしく、歩がベッドの横のテーブルの上から何かを取る。 「雪都さんもホットチョコレート飲む?」 渡されたマグカップを口につける。 甘ったるい香り。 とろりとしたチョコに浮かぶ、ふわふわの白い物。 「……マシュマロ?」 「うん。甘すぎた?」 「いや、美味い」 「雪都さんの煎れた紅茶ほどじゃないけどね」 「当たり前だ」 こっちはそれで商売してるんだから。 カフェで店長をしてる俺だから、それくらいはできなきゃいけない。 それでも、こんな風に自分の味に自信を持てるのは歩のおかげ。 「雪都さん、他に拭いてほしいとことかない?」 年下だけど気が利いて、 器用で料理もできて、どんな我儘もだいたいは文句も言わずきいてくれる。 本人には言ってやらないけど、俺なんかには勿体ないくらいイイヤツ。 「てゆーか…若いな…」 「はぁ?」 よく見たらパンツだけで上半身裸だった歩。 風邪ひくぞ、と布団の中に連れ込む。 「ちょっ……何?若いって?」 「いやぁ、あれだけヤッた後でよく眠らずにいられるなと。10代っていいなぁ」 「あんたいくつだよ」 「25のオジサンですけど?」 「25歳はオジサンじゃありません」 耳元にちゅ、と口付けされる。 歩の舌が耳の裏をなぞった。 「ん、…っ」 「今度俺の恋人をオジサンなんて言ったら怒るよ?」 「……ふぁっ…」 「それにそんなルックスでオジサンなんて似合わなさすぎ」 「べ、つに…俺童顔じゃないし…」 「美人なの、雪都さんは」
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