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「ご、ごめん…」
「そんなに嫌…?」
「え?」
「嫌なの?俺は…我慢できないのに…」
「や、あの、」
見たか。秘技、泣き落とし。
「…俺は、もっと触ってほしい…」
どーだ!お色気大作戦!
これでもう落ちただ…、
「~~ッ!やめてよ!」
「………」
「だめっ、だめ!もう寝て!」
ばさっ、と布団をかけられて、その上からぽんぽんと背中を叩かれる。
これじゃ、まるで俺の方が子供みたいだ…
「……お色気作戦…」
「おいろ……何?」
「俺、魅力ないかな?」
「は?…んな訳ないでしょ」
「だって歩は、」
「あのねェ、寧ろありすぎて困ってるんです!」
頭を掴まれて、引き寄せられる。
薄暗い中でもわかるくらい、歩の顔は真っ赤だった。
「俺が一回でやめられる自信がないからダメって言ってんの」
思わず、笑いが零れた。
やっぱり、若いな。
可愛くて、可愛くて、顔がにやける。
「何笑ってんの」
「いや、……我慢しなくていいのに」
「そういう訳にいかないでしょ。起きれなくなったら困るもん」
普段はあまり感じさせないけど、まだ子供。
2年前…初めて会った時と変わらない。
いつも俺の事1番に考えてて、お人よしで優しくて。
「歩…」
「ん?」
「ちゅーして」
「……雪都さん、目ェ閉じて」
このキスの続きは、
明日の仕事を終えてから…
「明日は起きれなくなるくらい、めちゃくちゃにしろよ?」
囁いた言葉に、歩は耳まで赤くなった。
大好きだ、アホ。
「もうほんとに、お願いだからヤメテクダサイ…」
つらそうな歩の声ににやにやしつつ、歩を抱きしめて俺は眼を閉じた。
また明日、な。
「雪都さんのばか…」
そっとキスをされて、少しずつ意識が遠退く。
これで明日も頑張れる。
その後のことを思えば、ね。
End
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