天使のえがお、悪魔のしわざ

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遅刻して連絡もないから待ち合わせ場所から俺ん家まで迎えにきてくれたんだ。 誕生日だから特別、なんだろうな。 普段だったらそのままUターンで帰っちゃって1ヶ月は口きいてもらえない…。 「金があんまりかかんなくて俺ができる範囲ならなんでもしてやっから」 「ホントに!?」 色々したい。色々したいけど、やっぱり… 「じゃあ…」 「ん?」 「裸エプロンしてくだ、」 「死ね」 もっとマシなお願い無いのかって頭を叩かれた。 「じゃあセーラー服で…」 「どこらへんがマシになったんだ?あぁ?」 「露出が少なくなったあたり?」 「死ねばいいのに」 「ひどいなー。男のロマンだよ?」 「俺も男だけど?おまえ裸エプロンとセーラー服やるか?」 首を左右に振る。 だって俺がやってもキモいだけでしょ。 「で、どうする?」 「はい?」 首を傾げると、なんでかわかんないけどいきなり頭をぐしゃぐしゃってされた。 「今日は外でデートなはずだったんだけど」 「お家がいいです!」 珍しくこんなに沢山笑うこの人を、他人に見せるなんてもったいない! 俺を見て小さく笑って、ベッドの横に置いてある小さな白い袋を取る。 「……忘れてた。来る途中で買ったんだけど、ケーキ食う?」 「食う!」 「今?」 「今!」 「じゃあ皿に乗っけてくるな」 今日が誕生日だって事より、この人がいつもの数倍優しいって事がすごく嬉しい!誕生日ってこんな幸せな日だったっけ… 「あ、忘れてた」 「今度は何?」 部屋の扉の前に居たのに、またこっちに戻ってくる。 顔を近付けられて、ベッドに膝をつくと、少し軋む音がした。 綺麗な黒い瞳が、眼の前で瞼に隠れていって、そっと唇を塞がれる。 不敵に笑う顔は、まさに魔性。 「誕生日オメデト、な?」 天使の顔をした俺の悪魔。 いっそのこと、もっと俺を惑わせてよ。 「おい…もう放…っ」 「やっぱりケーキ、後ででいいや」 覚悟して。 先に誘ったのは…俺じゃなくて、あんたなんだから。 End
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