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シンさんが口を放して、満足そうに舌なめずりをする。
「吸血鬼かあんたッ!肩に歯形ついたんだけど!」
「あはっ!ちょっとやってみたかったんだぁ。けどあんまりコウがエロい声出すから、僕サディズムに目覚めちゃったかも」
「怖いこと言わないで!」
「だって楽しいんだもん」
「てゆーか、やってみたかったってなんで…」
「あれ!」
シンさんの指差す方向には、山積みの漫画と小説。
しかも…表紙では男と男が絡んでて…。
「な、にアレ…」
「まああの、男同士のフィクション的な?」
「はい?」
「面白いんだよ!なんかファンタジー系も豊富だしさぁ」
「え。意味わかんない」
「S受って格好良くない?」
「えす……なんていった?」
「だからとりあえず漫画の真似して噛んでみた」
「………ところでシンさん。この漫画、全部でいくらだったの?」
ぎゅうっとシンさんが抱き着いてきて、上眼使いで俺を見る。
「………にゃあ」
「ごまかすなよ!」
結局その後シンさんは何も言ってくれなくて。
貯金から今月の生活費に足さなくちゃいけませんでした。
後日。
「にゃー」
「ねぇ……まだやるの、ソレ」
「マイブームだから」
「でもさ…」
「大丈夫、だいじょーぶ。今度はちゃんと日本語も話すから」
「うん…それなら…」
「あ、今度ネコミミコスプレとかしてみようか?」
「……………」
シンさんの興味はまた移り変わる。
それって、いったいいくらかかるの…。
End
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