友達からヨロシク。

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前に誰かが言ってた言葉を思い出した。 ―――――春。恋の季節です。 誰が決めたんだよ。 べつに春じゃなくてよくね? 春にしか恋しない訳じゃないんだから。 それともあれですか。 吊橋効果……とは違うけど、 春になって新しい環境に変わり、ワクワク気分に便乗して道でぶつかった人に一目惚れ!みたいな? 春は一目惚れが多いから恋の季節なんですか? 「ふざけんなっつの」 そんな俺は、ついこの前失恋したばかりの青春真っ盛りな高校2年生だったりする。 「ユウイチー」 名前を呼ばれてもわざわざ顔は上げない。 誰だかわかってるから。 「リク……あれ、うるさいのがいない?」 「シンのこと?…さっきまで居たのにな」 「きっと来る途中で食べ物の匂いがしたんだヨ。」 「匂いに誘われてどっか行ったって?あはは、犬とか猫じゃあるまいし」 「いやぁ、シンが本能で動く動物だってキミも知ってるでしょうよ」 「まぁ……そうだけどな…どうしよ、探しに行こうかな」 「夕ご飯の時間になったら帰って来ますよ、お父さん」 「いや、夕ご飯の時間になるまで俺ら学校にいないだろ」 あ、ツッコミいれるのそっちなんですね。 てゆーか俺は小動物の心配してる余裕ないんですー。 みさきちゃん、なんで俺じゃ駄目なんですか。 あ、いつもの俺とは明らかにキャラが違うけど、それくらい傷付いてるんだ俺。そこは突っ込まずに察して。 「ユウイチ、なんかユウイチじゃないみたいだな」 「…だから察して」 「は?」 突っ込むのはって言っ……まぁ口では言ってないけど。 「………それって、やっぱり失恋のせい?」 「あ、そこずかずか聞いちゃうんですか」 「あ、やっぱりダメっすか」 「んー。べつにいいですけど。てゆーか愚痴り相手がほしかった」 てな訳で愚痴っちゃうんだけど、本当いいのかな?リク君。 まぁもちろんダメって言われても勝手に喋りますが。 「てゆーか断られた理由が『私とユウイチ君じゃ釣り合わないから』って意味わかんなくない!?」 「ユウイチ美形だもんな」 「だったら普通そこは喜ぶところだろ!」 「人間は世間体を気にする生き物だからね、きっとその女の子にもいろいろ事情があったんだよ」 「それは俺の純情な恋心を踏みにじってもいいような事情ですかあ!?」 「………ユウイチ…」
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