地球へ

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「ダンディーになるために必要な髭を一本抜くぐらい悲しいぞ」 「抜くぐらいなら剃ればいいじゃないですか」 自分とは反対な思考の冷めた娘に、王は抜いた髭を髭に結んだ。 自分を慰める行為らしい。 「で、人間と…………な行為をしたとして、魔力が増幅する保証はあるんですか?」 ニタリと王は口角をつり上げた。 「『…………』のところをちゃんと言ったら教えてやろう」 「剃るぞ」 「必ず増幅しますね。はい」 王は素晴らしく真面目な顔で即答した。 星を統括するほどの魔族がこれでは、と嘆く魔族も少なくはないだろう。 「必ずですか?」 「おーいぇす。契約さえすれば必ず増幅する。契約は一人にしか交わせないから注意しなさい。キモオタだったら『ハァハァ』とか言いながらアニメ的な現実で捕まるプレイをやりかねない」 娘は想像して身震いした。 同時になにか覚悟した。 先程からこの親子が話す『魔力』とは、この星固有の不思議なものだ。 力と言ったほうがいいかもしれない。 まぁ、二人の会話に合わせて追々説明するとしよう。 「それで、魔力を増幅させてなんの意味があるんですか?」
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