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「あ、ちょっ」
瞬の制止も間に合わず、麒麟は転移した。
瞬が手を差し出したまま固まっていると、ポンッと肩を叩かれた。
振り返ると、担任であり幼なじみと言っても良いゴートンが立っていた。
「取り敢えず、降りて来い。まだ梁が残ってるんだからな」
「お、おう」
瞬は素直に頷いた。そして、二人で魔法陣を降りる。
「よし! 最後は梁だな!! 期待しているぞ! このまま流れに乗ってくれ!!」
少しハードルを上げるゴートン。梁は少し睨み、魔法陣に入っていく。
中心に来ると、
『我の名前を呼べ』
という声が聞こえた。
「?」
左右を見るが誰もいない。
気を取り直して呪文を詠唱しようとした時、それは起こった。
強い頭痛とともに、目の前が真っ白になったのだ。
「ぐあぁあああぁあ!!!」
梁は声を荒げ、蹲(うずくま)る。
「どうした! 梁!!」
ゴートンは駆け寄ろうとするが、出来ない。いつの間にか結界の様なものが出来ていた。
それだけじゃない。今まで見えていた筈の梁が見え無くなってきている。結界が真っ黒くなって来ているのだ。
そして、完全に見えなくなる。
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