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「なんだ? 俺は少し殺(や)ることがあるんだ。邪魔しないでもらおうか?」
葵を抱っこしながら撫でているアミラから視線を逸らさず、梁が口を開いた。
その行動は挑発しているかの様にも見える。当然、典型的な貴族の生まれである健市は激怒した。
「貴様! 平民の分際で俺様にその態度はなんだ?! さっきの事も含めて貴様にはこの国の常識をいうものを教えてやる!!」
健市はそう言って真っ赤な大剣を梁に向けた。
しかし、梁は反応しなかった。今にも射殺さんばかりにアミラを睨みつけていた。
その態度で健市が激怒し、それでも梁が無視するという悪循環がここに生まれていた。
その悪循環の様子をビクビクと眺めているクラスメイトたち。最も、実力がある者たちはのほほんとしていたが。
「ゴートンはめんどくさそうに頭を掻きながらため息を吐いた。
教師として止めないといけないからだ。やりたい奴はやらしておけ、と言うのがゴートンの考えなのだが学園長であるマリアが許さなかったのだ。
キレたマリアの様子を想像し、ゴートンは顔を青くした。無意識のうちに身体までもが小刻みに震え出す。
「止めろ。勝手な行動は許さんぞ」
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