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次に、マリアは壁にある箪笥から何やら丸い玉を出した。
「これは覚醒丸と言います。飲んだ人の隠された力が覚醒すると言われる魔薬です」
丸い玉――覚醒丸は正露丸の5倍くらいの臭いを放っていた。
当然、そんな悪臭を漂わせている薬なんざ飲みたくない梁。腰が引き気味だ。
「さあ、飲んでください。持ってるだけでも臭いんです」
じゃあ、持つなよ! 仕舞えよ! と、梁は言いたかった。何故なら、横から強烈な殺気の様なものが流れて来るからだ。
梁は恐る恐る横を見る。そこにいたのは目を細め、何とも言えない威圧感の様な殺気の様なものを向けて来る琳華だった。
琳華は昔から嗅覚が鋭い。そんな琳華にとって、正露丸の5倍の臭いを放っている覚醒丸は正に、地獄だろう。
前門に悪魔、後門に死に神。 的を得た表現だ。梁にとって正に地獄の世界。
意地でも飲みたくない梁。早く飲めと思っている琳華にマリア。
今、三つ巴の戦いが始まった。
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