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☆ ☆ ☆ ☆ ☆
梁は死んでいた。
否、死んでいると言うより、気を失っている。
それは何故か? 理由は至って簡単、正露丸の5倍の悪臭を放つ〝覚醒丸〟と言うのを飲まされたからだ。
覚醒丸――服用した者の力を呼び覚ます効力を持つ丸薬。
梁は覚醒丸を飲んだ事により、精神の最下層の深層意識に旅立っていた。
「…………学園長」
「何ですか?」
「…………梁の意識が戻らないんですが?」
琳華は恐る恐るマリアを見ながら言う。
それに対し、マリアは特に気にした様子が無かった。
「大丈夫ですよ。梁君はただ精神の奥深くに行って覚醒するだけですから」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
真っ白い空間。どっちが下でどっちが上なのか全く分からない。そんな空間に梁はいた。
「ここはどこだ? 俺は確か学園長に覚醒丸たるものを飲まされて…………そこから記憶が無い」
「もう来ちまったのか? いくらなんでも早過ぎるぜ」
困惑している梁の後から声が聞こえた。梁にはこの声に聞き覚えがあった。
この世界に来た日の夢で出て来た、自称ご先祖様のだ。
「なんか用か、自称ご先祖様?」
「用って言うか、お前の方から来たんじゃんよ」
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