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梁は驚愕し、そのまま崩れ落ちた。折角、魔法使いになれると思っていたのに、初級魔法一発が限界なんて。
しかしすぐに起き上がった。一発でも使えりゃ魔法使いじゃん! そう思ったからだ。
「一発でも使えんのか?」
「使えますよ。ですが、この世界でこの魔力量だときついですね」
梁は気になった。
「何でキツイんですか?」
「……この世界は昔から魔力に限らず、力が無い――つまりは落ちこぼれと言う存在を、蔑む風習と言うのがあります。特に上位の貴族になると、権力を使い精神的にも肉体的にも攻撃してきます」
梁は腹がたった。ちょっと力が無い者を蔑み危害を加えるなんて、人間のすることじゃない、と思ったからだ。
そんな梁の身体からなんとも言えない威圧感の様なものが溢れてきた。
「梁君!」
「…………はっ!」
「大丈夫ですか? 何やらただならない感じがしましたが?」
マリアの問いに、梁は笑って答えた。
「だ、大丈夫です。少し昔を思い出しただけですから」
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