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梁は笑って言った。
でも、マリアは気になっていた。さっき梁から溢れてきたのは、殺気だった。
それも少年には到底不可能なレベルのだ。
「(……少し気になりますね。この歳であれ程の殺気を出すとは……。しかもまだ、全力ではなさそうです)」
「学園長?」
「な、何でもないですよ。少し考え事してただけですから。それと私の事はマリア、と呼んでください」
焦ったマリアは急いで話題を変える。
「分かり――」
「敬語も無しの方が良いですね」
「………………分かったよ、マリア」
半目で睨んで来るマリアに負けたのか、敬語を辞めマリアと言った。
それに対しマリアは、
「よろしい」
ニッコリと微笑んで言った。
「それより、もうすぐ皆さんが起き出す時刻ですが、宜しいのですか? 琳華さんに問い詰められますよ?」
サーッと梁の顔が青くなった。
琳華の性格は少し接してみて少なからず分かっていた。何も知らせずに出かけると、しつこく迫ってきて怒ると怖いことを。
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