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黒い影――葵は目から大量の涙を流しながら、梁に抱き着いていた。
「お兄ちゃぁあぁあぁぁんっ!!!」
「ちょ、泣き止めよ……。な?」
梁があやすが一向に葵は泣き止まない。そればかりか、余計に泣き出す始末。
そんな2人を遠巻きに野次馬の如く見ているクラスメイト達。
クラスメイト達の頭には?マークが浮かんでいた。
〝お兄ちゃん?〟
お兄ちゃん――それは年下の人間が年上の男に使う言葉。
「がーっはははっは!! 感動の再会だな、こんにゃろう!」
未だ、泣き止まない葵を抱きしめている梁に近づくゴートン。
ハッキリ言って良い雰囲気を台なしにしている。
「……何ですか、先生」
「……すぅ……すぅ」
「泣き疲れて寝ちゃったみたいだな」
葵の寝顔はまるで天使のようだ、そう梁の顔にかいてある。
「お前…………シスコンかよ!」
「シスコンじゃない! ただ、妹が大切なだけだ! 命よりも!」
それがシスコンだろ、と周りにいるクラスメイト達は思った。
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