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リカの姿は見えない。
「ヴォヴォッ!!」
瞬が吹き飛んだ。
攻撃が当たった訳ではない。爆発的な速度を出したことによって発生した、凄まじい風圧で吹き飛んだだけだ。
「ぶっ飛べ、【爆絶】!!」
リカが拳を突き出した。
ヴァンパイアの能力を使った凄まじいパワーのだ。
だが、それが瞬に当たることは無かった。
「……はい、ストップ~」
真っ正面からゴートンに止められたからだ。
ゴートンの受け止めた手からは、その衝撃の強さを表しているかの様に白い湯気が立っている。
これは空気抵抗の摩擦により発生した熱によるものだ。
「全く。これ以上は教師として見過ごせないな。殺させる訳にもいかんしな」
ゴートンはプラプラと手を振りながら話し出す。
顔はにこやかだが、目は笑ってない。
――ゾクッ
リカは背筋に寒気がたった。
「(ば、馬鹿な! この私が人間に、こんな弱そうな人間に恐怖するなど…………!!)」
そうは思いながらもリカの足の震えは止まらない。
「分かったか?」
「……あ、ああ」
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