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「私の命の恩人ですよ」
「左様でございますか。……えーと」
「狗神梁です」
梁は男性に、名前を教える。
「梁様この度はお嬢様を、お助け下さってありがとうございました」
「いやいや。たまたまですよ」
「ご謙遜なさらず」
「いえいえ本当に、たまたまですから」
「またまた」
このやりとりが、小一時間続いたという。
「では、お食事でも御一緒にいかがですか、お嬢様?」
「そうですね。助けて頂いたお礼もしたいですし」
「良いんですか?」
梁は少し困った顔で言った。
「良いんです。助けて頂いたお礼ですので」
「ではお言葉にあまえて」
梁がそういうが早いか、琳華は梁の手を取り歩きだした。その時、琳華の顔が赤かったとか。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「こちらです」
「でっかい屋敷だな」
梁は屋敷の中を、歩きながら呟いた。
「そうですか?生まれた時から、住んでいるのでよく分かりませんわ」
「そうなのか」
「梁様こちらです」
「(ハア~貴族の食事って堅苦しいんだろうな)ここ?」
梁はため息をつきながらも扉を見た。
「はい」
「何だ?この扉は」
梁がそう思うのも無理はなかった。
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