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「いってぇえぇええ?!?!?! 刺さってるよ? ねえ、おもっくそ刺さってるよ?ぉおおぉ!!!」
ブシュ! という音を立てて瞬は引き抜く。
そのままゴロゴロと転がりはじめた。その手からはドクドクと遠慮なく噴き出している。
「何を騒いでおるのだ」
「ブシュ! って、ドクドク刺さって血がちちちっ、――」
「少し落ち着け。傷はもう治り始めておる」
「ちちちっ――ち?」
はい? と言い足そうな顔で首を傾げる。
実際、言っていたのは、ち? だが。
少しして処理が追いついたのか手を見る。確かに、傷は塞がり血が止まっていた。
「説明してくれぇええぇえぇぇえ!!!!」
「じゃから、契約じゃ。ワシら麒麟はこうして契約を終える。己の角を契約者に突き刺し、直接魔力を注ぎ込む事によってな」
「先に言ってくれよ!?」
「先に言(ゆ)えばお主は逃げるじゃろ? アヤツもよく逃げよった」
麒麟はウンウンと頷いた。
方や瞬はと言えば意味が分からなかった。
「アヤツって誰? って顔をしておるな。お主の祖先じゃよ」
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