一人のペットと二人の女王様

女王様は独り

「毎日毎日遅いんだけど！　もう早く死んで！　まじでだからイジメられ「あーはいはい。ごめんねー」

如何にも適当という事が丸出しの俺の返答に、恵理香は黙っていなかった。
眉間に寄せられた皺がより悪質に、怒りを含みながら増す。

「いいの？　皆にあの事、言うわよ」

「……言えるもんなら言ってみろ。お前らが猫被ってる事も言ってやるよ」

俺が何時もよりも不機嫌で、イジメにくい雰囲気を漂わせているのが気に入らないのか、二人は益々口調を荒げる。

「ゴミのくせに！」

「萩くんは私達に冷たいんだね、嫌いなんだ？　おじ様に言ってもいいんだ？　おばさ「分かったよ！　分かった分かった」

「「何が分かったの？」」

俺が両手を上げ、目を瞑って嫌々言うが、押され気味だった双子がいつものペースになる。

「は？　だからお前らの言う事聞いてればいいんだろ？　分かったよーっ」

歩きだそうと一歩踏み出したが、その大きな影とは対照的な小さい体の恵理香が立ちはだかる。

「ねぇ！　“何でも”……言う事聞くのよね？」

腰に手を当て、薄ら笑いを浮かべながら俺の顔を覗き込んでくる。
そして後ろから歩いてきた柚理香も恵理香の隣で立ち止まる。