女王様は独り

6/15
前へ
/56ページ
次へ
  「萩くん」 放課後、俺が図書室で本を読んでいると、珍しく女王様一人だけが来た。 「恵理香、凄い不機嫌なの……萩くんがああいう態度だと気に食わないみたい……」 「……だから?」 本に目を向けながら特に気にも掛けず言い放つ。 「悪いんだけど……恵理の言う事に付き合ってあげて?」 柚理香の本当の姿は女王様では無く、実は優しいただの女の子。 恵理香が小学生の頃虐められてから、一人になりたくないと違うクラスの柚理香にくっ付いて行動する様になった。 それから女王様になり、益々孤独、一人を嫌った。 それを察してか、柚理香も恵理香の前では自分の出来うる限り、女王様になりすましていた。 何故、演技をしていたと見破れたのか。考える迄もない。 恵理香とは我儘や命令の度合いが違っていたし、なんとなくぎこちなかった、というのが決め手か。 それに柚理香に相談……と言える物ではないけれど、恵理香の事を悩んでいたり、話を持ち掛けられたりしたからだな。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

148人が本棚に入れています
本棚に追加