女王様は独り

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  「えーりっ! ドーナツ買って来たよ」 「おかーり! 私の好きなのあるっ?」 柚理香が恵理香の居る部屋に入ると、窓辺にアンティーク調のチェアを置き、本を読んでいた。 柚理香が近寄ると、恵理香は飛び付いてドーナツを頬張る。 「おいしーっ! ありがとっ!」 恵理香が満面の笑みで言うと、柚理香もつられて幸せそうに笑った。 「ねぇ、恵理? 萩くんが話あるんだって」 「あんなペット要らないし。帰しといて」 すっかり拗ねていた恵理香は、また本を読み出した。 でも柚理香は本を取り上げ、真剣な表情を作る。 「恵理、自分の気持ちに嘘吐いちゃダメだよ」 「嘘なんか吐いてないし!」 「双子の私に分かんないと思った? 分かるわよ。生まれてからずうっと一緒だもん」 恵理香は柚理香の表情や態度に言葉が見つからず、何か言いたげに柚理香を睨み見る。 「本当は萩くん大好きなんでしょ? ……素直になりなよ」 「うるさいっ! 柚理だって素直じゃないでしょっ」 「私は素直よ。恵理みたいにひねくれてない」 「……む~」 柚理香が溜め息を吐きながら子供の様に口を膨らませている恵理香の頭に手を置いた。 「恵理……高校生なんだよ? 子供じゃないんだからさ」 柚理香があやす様に言うと、恵理香がカッとなって怒鳴った。
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