女王様は独り

14/15
前へ
/56ページ
次へ
  「恵理っ……」 恵理香が顔を洗い、柚理香が居る部屋へ戻る。 柚理香は複雑そうな顔をしていたが、俺の後ろに居た恵理香の姿が見えた途端、走って近寄る。 「…………柚理、ごめんね。酷い事言って……ごめん」 「私こそ。恵理の事全然分かってなかったのに、分かったような言い方して……ごめんなさい」 恵理香は小さな小さな声だったけど、柚理香は安心したみたいで、目を細めていた。 俺もワル乗りして、恵理香と柚理香の手を持ち、ギュッとお互い握らせる。 「はい、仲直りの握手」 「「子供じゃないわよ……なめんな」」 双子が少し照れくさそうに声を揃えたが、いつもの女王様発揮。 その反応をすると分かっていたが、クスッと笑ってしまった。 「はいはい」 「ふふっ」 「「……何?」」 柚理香が目を細め、心底嬉しそうに笑う。今度は恵理香と俺の声が揃った。 「ん? 何でもな~い。……それよりさ、今週三人で遊びに行かないっ?」 「また急に……」 「行ってあげてもいいけど? てゆうか萩も来なさい! これは私からの「命令なんでしょ」 溜め息と共に遮ると、また柚理香から笑みが零れる。 恵理香はめんどくさそうに立っている俺を睨み付けていた。 「行きたいトコあんの?」 「ショッピングとか!」 俺達が賑やかに談笑していると、部屋の外から声が掛かった。 「萩くん来てるのー?」  
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

148人が本棚に入れています
本棚に追加