女王様は寂しい?

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  「早牙原くんっ!」 教室に入って前の席の椅子に移動してきた中山と話していたら、教室の外で照れくさそうに立っている女子が俺を呼ぶ。 「あれ、天条音。おはよ、どしたの?」 俺を呼んだのは、親父の会社、早牙原財閥と契約している大手化粧品会社の社長令嬢、天条音結(てんじょういん ゆえ)だった。 「おっ、おはよう……。あのね……今度の週末って空いてる? かな」 自席を立ち、天条音の目の前まで行くと、俯き気味で垂れ目がちな瞳を泳がせながら静かに呟いた。 「日曜なら空いてる」 教室のドアに寄り掛かり、教室の壁の反対側にある廊下の窓を見ながら恵理香の言葉を思い出す。 「あのね、一緒に……お、お出掛けでもしない?」 「いいけど……行きたい所あんの?」 天条音の方を向くと、無表情で俺をジーっと見ていた。 少したじろぎ、ぎこちなく何?と問う。 「……あ、いや……早牙原くんって、いつ見ても綺麗な顔してるよね」 天条音は俺の横顔を見ていたらしく、またすぐに笑顔になった。 俺は自分の顔なんかに興味は無いが、年頃だし、身だしなみ位には気を配る程度。
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