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「萩く~ん、帰りましょ」
「私、早く帰って本を読みたいの」
その日の授業とホームルームも終わった数分後に、変な口調の女王様が教室前に来た。
毎日毎日教室まで来なくても逃げねぇっつの……。
お陰でクラスの連中が変な妄想膨らませてんだよ。
「恵理香ちゃん、柚理香ちゃんバイバイ!」
通行の邪魔にならないように廊下に立っている双子に気付いた女子が、猫被り姉妹に手を振った。
「「ごきげんよう、またね」」
それを毎日の如く変なお嬢様口調で返す双子。
ニコッと微笑み、可愛い可愛いお嬢様ですよアピールを兼ねて。
俺はアイツらの潔白な【良い子】の裏の、汚い【悪い子】の顔を学校の奴らに見せてやりたい。
【お嬢様】が本当に【天使の様なお嬢様】だとは限らないぞ、と。
「お前ら、なんで猫被ってんの? 毎っ日気になり続けて早や五年」
玄関を抜けると同時に両脇に居る双子に前を向いて歩きながら聞く。
双子はその言葉を聞いたと同時に、素早く辺りを見回した。
「はっ、なんだその慌てっぷりー。いつもは堂々としてらっしゃる女王様がみっともねぇな」
俺が尚も平然として、表情を変えずに鼻で笑った暴言を吐いた。
「お前、私が直々に目を抉って差し上げようか?」
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