女王様の日常

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  双子は高校から一緒で、俺と自分達の家族の前以外では間違ったお嬢様言葉。 だが、たまに柚理香が毒を吐く。 二人は一卵性の双子で顔も性格もそっくり……なのだけれど、恵理香の方が悪人顔をしており、服もジャンルが違う。 恵理香は、今時の女子高生が着るような悪魔系(最早アイツは悪魔)。 柚理香はおしとやかな雰囲気を醸し出している、清楚系。 双子曰く、『お嬢様だからといって、ドレスっぽいワンピースとかのファッションはもう古い!』らしい。 そして何よりも、現在進行形で双子を女王様にしている張本人が、俺の身内に居る。 「母さん! 本当にアイツら、出入り禁止にしてくれよ!」 双子が帰ってから、怒りを込めてまざと力強く大理石の床を踏み、母さんの部屋へと足を進める。 今更だが……父親の事は“親父”と呼ぶが、母親の事は“母さん”と呼ぶ。 それは母親の希望だ。 “お袋”だと老けて見えるだの俺がババア呼ばわりするだのうるさいから。 「恵理ちゃんと柚理ちゃん? 可愛いし良い子じゃない。昔から一緒に居るんだし……今さら」 母さんがおしとやかで“お嬢様”な双子を気に入っているのも当然だけど、本当の性格を知っている。 それでいて、まだお気に入りというのは、俺の家族構成に問題があるからだったりする……。
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