女王様の日常

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俺の下に一人弟が居て、名前は貴龍(きりゅう)。 今、中学二年生で、部活に命を賭けている。 帰りも遅いから双子に会う事はあまり無いが、双子は貴龍には凄く優しいので、貴龍も懐いている。 その弟には問題無いのだが……。 「昔っから言ってるよ……アイツらに会いたいなら母さんが宝城さんち行けばいいだろ」 「あの子達、色々お手伝いしてくれるのよ? 本当は嫌なのかもしれないけど、それを抑え込んでるなんて凄いじゃない」 母さんは上辺だけで人を判断せず、初対面の人に会ったらまずその人の観察だ。 言動を厳しく見極め、善人そうだったら心理的な難問を押し付け、逆に悪人の疑いがありそうだと、簡単な問いをしてそれぞれどんな答えが出るか試すのだという。 第一印象の判断の仕方は外見ではなく、内面。 つまり最初の挨拶の態度が母さんにとっての第一印象。 双子は小さい時から変な挨拶を繰り出していたが、母さんは長年の勘とやらで良い子と判断したらしい。 それに俺の家――早牙原家には女の子が居ない。 昔から女の子が欲しかった母さんは、あの双子が大好きって訳。 それからというもの、娘が居ないという理由だけで、双子を一番甘やかしているのは俺の実母だった。
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