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困ったように笑いながらこう言うと、王道では素朴で隠れがちながらも美少女と言って問題ない少女が現れて、心配そうにこう言うはずだ。
『そんなことをしたら、王子様はどうなるんですか……?』
イオスはその疑問に首を振りながらそっと肩に手を置き、笑いかけて言うわけだ。
『僕のことはいいんだ。
そんなことより、君に何かあった方が辛い。
それから比べたら、僕が傷付くことなんて大した問題じゃないよ』
『でも……』
今にも泣きそうな顔で見上げる美少女に、イオスは苦笑して見せる。
『たしかに、僕に危険がないわけじゃない。
でも、僕は君の方が大事なんだ。
君のためなら、この命は惜しくないよ。
でも……そうだな……。
もし、2人とも無事に帰ってこられたら……、その時は一緒に王都に来ないか?』
『王都に……?』
涙を堪えながら、イオスの意図が分からずにいる美少女に、イオスは真っ白な歯を見せて笑いかける。
『結婚しよう』
『………はい!』
一瞬キョトンとしたが、嬉しそうに頷いて見せた美少女を、イオスはそっと抱きしめる。
そして――。
◇ ◇ ◇
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