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ダンボールはなかった。
僕の家なのに
家って消えてしまうものなんだ
僕はそう思った
小さい人間が声をあげて遊んでいる
子供というらしい
一人の子供が僕を見つけた
僕は逃げ出した
痛いのはゴメンだ
追いかけてくる
笑いながら
彼らにとっては遊びなのだろう
ヒドく残酷な遊びだと思った
今でも思う
その時、僕は人間だらけの公園において珍しいモノだったはずだ
珍しいモノに対して放っておくはずがない。
それはワザとではないにしろ、彼らにとって僕は異質な存在
だから追われた
そう思う
その日はその子供から隠れるので精一杯だった
隠れている時は空腹ではなかったのに、子供がいなくなったら思い出した。
隠れていた場所から出る。
また子供がいた
でもさっきとは違う子供だった
僕を見ている
その子は手を僕に差し出す
何かわからないが良いニオイがするモノを持っていた
それを僕の目の前においた
僕は無心にそれを食べた
その子は言った
美味しい?ネコさん
ネコさん?
ああ…僕の事か
そうか 僕はネコさんと云うらしい
その子は気付いたらいなかった
帰る場所があるらしい。
僕の帰る場所はなくなった。
でも、この日色々な事が分かった。
どうやら僕は「ネコさん」という存在らしい。
そして、その「ネコさん」は人間にホウキで叩かれ、追われる存在らしい。
だけど、その人間にも食べ物をくれる人がいるんだと知った。
僕は「ネコさん」なんだ。
それが僕。人間とは違うモノ。
僕という存在が分かった時には日が沈んでいた。
そうして僕の1日は終わっていった。
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