こわい人。

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雨がふっていた。 男の人が呟く。 おとなしくしてろよ。 ぼくは、独りぼっち。 「あの猫はどうする?」 女の人が煙をはきながらため息をつく。 となりの男の人は笑いながら、言った。 「捨てればいいだろ」 ぼくのことだ。 「そうねえ、貰ってくれる友達いないし」 女の人は真っ赤なくちびるの両端をつりあげると、足元にあるぼくが入ったケージを蹴飛ばした。 「ごめんねぇ、子猫チャン。この人猫嫌いだから仕方ないの」 “猫嫌い”な男の人がそれを聞いてゲラゲラわらう。 ああ、すてられる。
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