夏休みが始まった

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 終了式が終わり、俺たちにも夏休みが訪れた。  校庭ではサッカー部が汗を流している。陸上部は黙々とロードワークに励んでいる。しかし、俺たち野球部といえば。 「あーあ。彼女ほすぃ……」  早めに切り上げた、というか申し訳程度にキャッチボールとノックをして終わらせた練習。こんな部だから、夏の大会も一回戦コールド負け。昨年インター杯準優勝という快挙を成し遂げたバスケ部とは偉い違いだった。  代々やる気の無い四番ショートのキャプテン――彼女云々とほざいていた同期の花形迅。顔は良いのだが、とにかく不真面目で、致命的な程馬鹿なのだ。しかも、いかにも早そうな名前とは裏腹に、かなり足が遅い。  他にもだめな奴ばかりだ。筋肉をつける事しか考えない副キャプテンで三番ライトの大木。捕手なのにボールを怖がる土田。  そして、野球部なのにテニスの方が上手い俺、藤井。  他にも一年生がいるけど、全員花形の影響でだれまくってる。 「なあ、みんな」  花形だ。花形が読んでた漫画を置いて、俺たちに話かける。ちなみに、俺たちというのは、俺と大木と土田だ。これに花形を加えた四人は何かとよくつるんでる。 「海行こうや」  俺たちが抗議するもやむなく、花形に強引に連れていかれる形で海に行くことになった。
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