ハンティング開始

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 攻防を見守る事三〇秒。  花形は惨敗。あの可愛いいお嬢さんは、花形の頬に平手を打ち込み、さらに彼が怯んだところで足払いをかます。さらにさらに、地面に横たわる花形めがけてカカト落としの洗礼を浴びせ、止めに額にマジックで『肉』と大書されてしまった。 「あ~あ。かわいそ」  と俺。俺でも認めている花形の美顔が、今では見る陰もなく季節外れの紅葉が浮いている。 「てか、どういう風にしたらああなるんだ?」  と大木。確かに、普通にナンパしただけなら軽く退かれてそれで終わりだろう。しかし、なれほどまでにひどい仕打をされるということは、セクハラまがいの口説き文句をしたのだろう。花形の馬鹿さ加減が完全に裏目に出てしまった。 「ったく、俺ら振り回してぶっ倒れるとは世話ねぇな。俺帰る」 「大木。待てよ」  俺はひき止めにかかる。 「帰るよ俺。予備校の宿題しなきゃなんねーし。それにいつまでも花形に付き合うのもさ」 「……。確かに」 「あ。あれ見て」 『ん?』  これまで一言も喋らなかった土田が口を開いた。彼が指差す方向を見ると、そこでは信じがたい光景が演じられていた。
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