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「それよりも大丈夫ですか?」
自分に投げ掛けられた質問には答えようとせず、ただただ花形の事に気を注ぐ。
「あ、オレ。ははっ、全然平気。ホラ……」
そう言って、ネックスプリングで立ち上がろうとする。
背中を丸めて膝を曲げ、掌を地面に付けて力を蓄え――
「ほっ!」
曲げた体に貯められた力を一気に解放し、花形は宙に飛び出した。
しかし、
「うっ……!」
妙に力んだか、それともタイミングを誤ったのか。花形はネックスプリングに失敗し不格好なブリッジになり、そのまま失勢して砂浜に倒れた。
「本当に大丈夫なんですか?」
「ごめん。やっぱムリ……」
見るに見かねた大木が花形に近付き、彼女から遠ざけようと難儀する。俺としても、これ以上花形の失態を傍観するのは耐えがたいものがあった。
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