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「はっ、はい、えっと、『汝、グリモワールの子なり。我が力を欲すならば、我が魔導書に汝の力を書き示すなり』……あれ、これって?」
桜は呪文を唱えたつもりだが、魔導書は何の反応も示さなかった。おおかた魔力不足だろうと桜は苦笑いしたが、目の前の教師は違った。
「これはやはり……!三ツ井、すぐに生徒会室に向かいなさい。これは私にも扱える品物ではありません」
「……?」
桜は何のことかサッパリだったが、教師は桜が質問する前にどこかに走って行ってしまった。
「いったい何なんだ?」
呟く桜に、答える者は誰もいなかった。
桜は自分の魔導書を脇に抱え、一人生徒会室を目指すのだった。
そんな桜を笑うように、魔導書は淡く緑色に光っていた。
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