落ちこぼれの力

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「確かに陣を利用し、威力・効果・範囲を増幅させた魔法もある。だが、これは違う。文字の一つ一つに力が宿り、自然から魔力を受け取り、体内で変換したそれを陣に一息でどれだけ込めれるかで威力等が決まる……」 天慧は手を上にかざし、目を閉じる。 「古の智恵、魔術だ」 刹那、幾つもの光の線が天慧の手のひらから飛び出し、空中で混ざり、弾ける。 それは、あまりにも美しく、幻想的だったが、桜には天慧の言葉しか頭になかった。 『自然から魔力を受け取る』 それは、桜の思った通りの言葉であれば、桜自身にも使えると言うこと。 桜の体は自然と震えた。 「じゃあ……、じゃあ僕はそれを使えるんですね?」 桜の問いに、天慧は無言で――しかし輝くような笑みで――頷く。 「これを試してみろ、君が初めて使うにはぴったりな術だ」 そう言って、天慧は先ほどアイゼンから受け取った陣――加速〈アクセル〉と言っていた――を渡す。
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