遡る記憶~誠意の過ち~

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『今取り組んでいる研究も最終段階まできてね…』 男は言葉をつまらせた。 リリスが不思議そうに顔を覗き込むと、額から尋常ではない汗が流れている。と同時に見る見る肌が青白くなり、瞳が赤く染まっていく。 『お父様…?!』 リリスは男の腕を掴み、必死に呼びかける。だが虚しく病室に響く声に応える様子はない。 『けん…け…研究が…研…には』 思わず掴んでいた手を放し、自動ドアの方に後退るリリス。 目の前にいる男には既に父の面影はなく、普通に喋ることができない程引き攣った顔でリリスを睨んでいる。
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