遡る記憶~誠意の過ち~

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リリスの瞳に映るのは真っ赤に染まった血だらけの死体の数々。 幼いリリスの脳は、理解を拒む様に思考を停止していた。だが、それこそがこの惨状を一瞬で理解せざるを得なかった証だった。 外に続く扉までは細長い絨毯が敷かれているのだが、折り重なるように転がる死体が行く手を塞いでいて進むには相当の覚悟がいる。 躊躇するリリスは背後に迫る気配に気付かずにいた。 『捕まえた』 その言葉と共に男の手がリリスの腕を掴んでいた。 『嫌っ!!放して…お父様っ』 泣きながら訴えかけるのを無視して、男はリリスを引きずり上ってきた階段を下へ下へと降りて行く。
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