遡る記憶~誠意の過ち~

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病棟のある階の下、その更に下にある階へと続く石段には仕切り等なく誰でも立ち入る事ができる。 だが誰も近付く者はいない。研究室に入るには静脈認証が必要で、それ以前にその場に立ち込める悪臭と冷気、この世とは思えない程、劣悪な何かがあった。 リリスもまた例外ではなく、この場所には近づこうとしなかった。 男に引きずられながら研究室のドアの前まで来たリリスは、この奥に待っている何かに対する恐怖に抵抗する事さえ忘れていた。
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