遡る記憶~誠意の過ち~

45/54
前へ
/236ページ
次へ
リリスの目に映るのは憂いを帯びた瞳で自分を見つめる男。 絵の中の男は聖ニコラオス、有名な神学者だ。この絵が“名も無き憂鬱”と呼ばれるようになったのは、このバルナバ大聖堂が神学者のみに開放され、一般人に知られる事がなかったということと、もう一つ理由がある。 それはニコラオスの表情。描かれた当初は微笑んでいたはずが、時と共に哀しみに包まれた虚ろな表情に変化したことだ。 『この大聖堂の何処かに魂の書が隠されているかしら…』
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加