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リリスの目に映るのは憂いを帯びた瞳で自分を見つめる男。
絵の中の男は聖ニコラオス、有名な神学者だ。この絵が“名も無き憂鬱”と呼ばれるようになったのは、このバルナバ大聖堂が神学者のみに開放され、一般人に知られる事がなかったということと、もう一つ理由がある。
それはニコラオスの表情。描かれた当初は微笑んでいたはずが、時と共に哀しみに包まれた虚ろな表情に変化したことだ。
『この大聖堂の何処かに魂の書が隠されているかしら…』
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