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*良×桃*1/
PM 2:20
時計を確認した後 手に提げた買い物袋を見つめると自然と笑みが零れた
本当はプリンを持って行こうと思って何軒もコンビニやスーパーを回ったけど 運悪くどこも売り切れ
仕方なくデザートの棚で目に付いたモノを買って来たけど…うん、これで良かったのかもしれない
これを見た時の『彼』の反応が楽しみで、どうしても表情筋が緩んでしまう
『気色悪ぃなぁー…何、笑ってんだよ良太郎』
噂をすれば僕の足元に現われた彼に驚き 思わず手に提げていた袋を胸に抱え庇った
どうしよう
もしかしたら 買っている場面を見ていたかもしれない
折角のサプライズが台無しになるかもしれないと 内心ドキドキしながら目の前の彼に「なんでもない」と返事を返した
彼は僕の行動と返事を不審に思ったのか、砂の姿のまま僕の周りを様子を伺いながらグルグルと回り始めた
『…その袋の中、プリンか?』
「あっ、えと…着いてからのお楽しみだよ」
良かった…僕がコレを買うトコロは見ていなかったみたい
PM 2:21
袋を片手で胸に抱えたまま 傍らのドアに手を掛けた
「僕が好きなモノなんだ…たぶん、モモタロスも気に入ると思うよ?」
『ホントか!??』
もし、彼を動物に例えるなら 彼が苦手な子犬だと思う
円らな瞳を輝かせ 小振りの尻尾を千切れんばかりに振っていると思う
僕は彼のそんなトコロが大好き
でも…
彼の素直で純情なココロを
彼の感情豊かな表情を
僕の手で歪ませたいと思う もう一人の僕が居る
彼は、僕の中のイメージで実体化した
僕のイメージ通りなら その身体は僕を受け入れるハズ
ううん…彼は僕を受け入れざる得ない
だって僕は彼の…
『ソレ、プリンより美味ぇーのか!!??』
「うん、勿論。プリンより甘い……」
君。
→続く
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