道草。

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小学生の時、やけに帰り道が長かった。 2~3時間費やしてるんじゃないか?って思うぐらい。 実際は10分も掛からない道だったのに。 すごく遠くて長かった気がする。 けど、帰り道はちっとも苦じゃなかった。 たぶん、その毎日の帰り道の中で何かを見つけていたからだと思う。 例えば 弱ったすずめに出会ったり お腹を空かせた捨て猫がいて 餌をあげてみたり ありえないぐらいでっかい毛虫に遭遇したり 変質者のおっちゃんに追いかけ回されたり 初めてのエロ本遭遇事件で ドキドキしたり 他にも沢山。 小学生ん時の あたしの世界は 家から小学校までの たった 何百メートルかの範囲だったわけ。 その何百メートルかの範囲で起こる事が全てだった。 だから、 今のあたしでは気が付けない 小さい小さい変化が キラキラして 楽しくて楽しくて 仕方がなかった。 今ではあの時より 百倍にも千倍にも何百倍にも 世界は広がった。 その代わりに 見つけられる物が少なくなったのかな。 些細な事に気がつけなくなってしまったのかもしれない。 どんなに楽しい事があっても どんなに美味しい物を食べても どんなに美しい物を見ても どっかで、当たり前の事だと思ってるのかな。 たまには、道草も必要なのかもしれないね。
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