接種

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袋に突っ込んだ左手に、チカッと熱い感触… 《なんだろ?》 僕は袋を引っ繰り返した。 冷凍のミニハンバーグやハッシュドポテトのパックがフローリングの上に転がった。 その中に… 黄色と黒の縞模様がチラリと見えた。 「うわっ!?」 僕はその場から飛び退いた。 …僕の中で危険度Maxの警鐘が鳴る… 《もしや…あれは…》 あのブーンと飛んで、チクリと刺してくるあの… 左手指から全身がザワザワする。 《刺された?…なんだこれ?…》 でもとりあえず助けを呼ばないと! 「かっ…母さん!…母さん袋の中…は…蜂がいる!!」 「えぇぇ?なぁにぃ?」 テンパってる僕に対して着替えてくつろぎモードの母さん。 「蜂だよハチ!!袋の中に!」 「えっ!いるの!?ドコよ?」 母さんは恐々と洗面所から顔を出す。 「ユウ君!男の子なんだからやっつけてよ!!」 …母さんへ救いを求めたのは間違いだった。 「…よし!」 《動くものを見つけたら容赦なく…叩く!》 そう決めた僕は、近くにあった雑誌を握り締め、静かに冷凍食品へ近づいた。
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