風ガ運ブモノ

4/5
前へ
/49ページ
次へ
学校の中はやはり真っ暗で、廊下の先は闇に隠れていた。 緑色や赤色の光が薄く廊下を照らしている。いつもとのギャップに興奮する。 優奈がゴソゴソとバックの中を探り、懐中電灯を取り出した。 それを見て皆が懐中電灯を灯し始める。 夜の9時に優奈からメールで、11時30分に校門前に懐中電灯を持って集合と連絡があったのだ。 その事も優奈は覚えていないという。気付いたら校門前にいて、リュックには懐中電灯と紙、それに赤のボールペンが入っていたらしい。 4つの懐中電灯で、廊下は大分明るくなった。その明かりを頼りに、私達は2階の自分達の教室へと向かう。 明るくなってもまだ、後ろに女がいるような感覚は消えず、私は大股で皆の前で歩き、ドアを開けて教室に入る。 すぐに電気をつける。つけても誰にも見つからないという確信がなぜか頭にあった。 机の上に優奈が紙を敷き、赤ボールペンを取り出した。 瞳が私を見る。 「真帆~意外とチキンだったりする!?」 さっきから私は振り返ってばかりいた。指摘されて真っ赤になる。 「なっ…んな訳ないじゃん!!!!さっ早速始めちゃおうよこんな子供騙し…」 慌てて一気に言ったので、もしかしたら強がっていると思われたかもしれない。実際3人共ニヤニヤしだした。 私は優奈からボールペンを取り上げ、紙の真ん中に小さく片仮名で『マ』を書き、丸で囲んだ。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

124人が本棚に入れています
本棚に追加