124人が本棚に入れています
本棚に追加
学校の中はやはり真っ暗で、廊下の先は闇に隠れていた。
緑色や赤色の光が薄く廊下を照らしている。いつもとのギャップに興奮する。
優奈がゴソゴソとバックの中を探り、懐中電灯を取り出した。
それを見て皆が懐中電灯を灯し始める。
夜の9時に優奈からメールで、11時30分に校門前に懐中電灯を持って集合と連絡があったのだ。
その事も優奈は覚えていないという。気付いたら校門前にいて、リュックには懐中電灯と紙、それに赤のボールペンが入っていたらしい。
4つの懐中電灯で、廊下は大分明るくなった。その明かりを頼りに、私達は2階の自分達の教室へと向かう。
明るくなってもまだ、後ろに女がいるような感覚は消えず、私は大股で皆の前で歩き、ドアを開けて教室に入る。
すぐに電気をつける。つけても誰にも見つからないという確信がなぜか頭にあった。
机の上に優奈が紙を敷き、赤ボールペンを取り出した。
瞳が私を見る。
「真帆~意外とチキンだったりする!?」
さっきから私は振り返ってばかりいた。指摘されて真っ赤になる。
「なっ…んな訳ないじゃん!!!!さっ早速始めちゃおうよこんな子供騙し…」
慌てて一気に言ったので、もしかしたら強がっていると思われたかもしれない。実際3人共ニヤニヤしだした。
私は優奈からボールペンを取り上げ、紙の真ん中に小さく片仮名で『マ』を書き、丸で囲んだ。
最初のコメントを投稿しよう!