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耳に息がかかり、低い声が響かれる。
「なぁ、呼んでくんねぇの?」
「な…、は、離せ!こんなとこ、誰かに見られたら…っ」
ガシャン!!
急にエレベーターが揺れ、かと思ったらそのまま動かなくなった。
ボタンがついていない…。どうやらエレベーターが止まってしまったようだった。
「ほらな、これで誰にも邪魔されない。」
「…っ!!」
まさかと思い後ろを振り向けば、そこにはニタリと笑った背の高い宇宙人。
少し薄暗い室内に、似合わない光を放つ右手。
バチバチと、まるで電気が帯びているような感じ。
「おま…、早く動かせ!会社に迷わく…が…」
スルリと、さっきまで電気を帯びていた右手が顎を捕まえる。
唇を人差し指で撫でられ、背筋がゾワリと逆立った。
「名前、呼んでくれねぇの?」
眉を下げ首を傾げる動作をされる。
何故そんなに名前にこだわるのかが分からない。
別に呼ばなくてもいいじゃないかと思う。
ずっと一緒にいるわけじゃないのだから。
「なぁ、」
「わ、わわっやめ!」
知らないうちにワイシャツの下から入れられた手を払いのけようと頑張るも、微動だにせずその手はどんどん上へと上っていく。
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